「ウイグル女性40万人を域外就労」 中国に警鐘

  

 【ワシントン=山本秀也】米国在住の著名なウイグル人女性人権活動家、ラビア・カーディル氏は31日、米下院人権議員連盟(座長・ラントス外交委員長)の会合で、中国当局が新疆ウイグル自治区で進める若いウイグル人女性40万人を対象とした組織的な域外就労について報告し、労務対策に名を借りた中国への文化、民族的な「同化政策」として警鐘を鳴らした。「ウイグルの母」と呼ばれる同氏は、11月7日から初めて訪日し、東京、大阪など各地でウイグルの実情を訴える。

 組織的な就労は、カシュガル、ホータン、アクスなど自治区南部のウイグル人比率の高い地域で2006年6月から始まった。就労先は天津、青島(山東省)など中国沿海部の都市で、15−22歳のウイグル人女性が対象となっている。第11次5カ年計画(06−10年)の間、計40万人を自治区外に労働力として送ることが目標とされる。

 対象の村では、「各戸から5年以内に最低ひとりの域外就労を」といったスローガンが掲げられるなど、実質的なノルマ制がとられる一方、女性が地元に逃げ帰った場合には、3000−5000元(1元=約15円)の罰金が科されるという。

 

就労先は縫製工場など。見習い期間後は900−1100元の月給が支払われる約束だが、カーディル氏は「事態はまったく違う」として、日常的な12時間労働や不衛生な宿舎環境など、ひどい待遇を非難した。

 中国共産党カシュガル地区委員会の史大剛書記は、この就労政策を「農村労働力の移転」として、今年4月の地元会議で大胆な推進を表明。「ウイグル族の外部就労を妨げる者は、カシュガル、ウイグル民族の罪人である」として、抵抗の排除を訴えていた。

 政策の狙いについてカーディル氏は、(1)安価な労働力確保と潜在的な売春の予備軍化(2)中国文化への同化策(3)ウイグル人女性と同族男性の婚姻を抑える一方、多数派である漢族男性との婚姻機会を広げる(4)自治区内でのウイグル人比率の低減−を指摘した。

 カーディル氏は、「ウイグルの文化では、生活様式や価値観への配慮を欠いたまま、女性を意志に反して民族社会から連れ去ることは、最も屈辱的で挑発的なことだ」と発言。北京の米国大使館による実態調査や、米議会の決議採択を求めた。

 カーディル氏は今年59歳。苦心の末に不動産業などのビジネスで成功。中国の政策諮問機関である全国政治協商会議の委員にも就いたが、ウイグル人の人権擁護を求めた言論活動を機に解任。1999年に投獄され、2005年3月に米国に身柄を引き渡された。実子らはなお中国当局の拘束下にある。

 これまでノーベル平和賞の候補となったほか、昨年11月には在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(WUC)総裁に選出された。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/071101/chn0711011838001-n1.htm

(産経ニュース)

2007年 11月2日

  


                          

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