東トルキスタンに駐在する侵略軍―“新疆生産建設兵団”の“苦しみ”


8月16日の大紀元時報中国語版に、新疆生産建設兵団についての記事が掲載された。新疆生産建設兵団は中国共産党の東トルキスタン占領で重要な役割を担ってきた。商業や工業、建設などの事業を請け負い、われわれが武装蜂起など独立活動を活発化させるとこれの鎮圧にあたり、また、中国からの移民の受け皿にもなってきた。東トルキスタンに流入した漢族人口の天国だといわれる大兵団である。ところが、設立後50年以上たち、ホームシックがひどくなったこの兵団員が故郷に帰りたいと訴えたにも関わらず、受け入れられなかったため、暴動を起こしているというニュースは当サイトでも紹介した。
その後、法輪功が発行している大紀元時報に、この件に関わっているという中国のもと大佐の陸軍士官のインタビューが紹介された。その内容を簡単に紹介する。

まず、この記事では、中国の軍の新聞である解放軍報の、軍設立78周年の社説が引用されている。共産党は軍に対して今も絶対的な指導権があることが強調され、解放軍はいかなる場合、いかなる状況のもとでも共産党に従うと書かれている。しかし、大紀元ではこれは軍内に不穏な動きがあり、共産党が動揺していることのあらわれだとする。

 中国ではすべての“合法的”な出版物は党の影響下にあり、党の機関紙、宣伝誌といえる。その内容を鵜呑みにしてはいけない。中国の憲法では民族は平等であるべきだと書かれているが、これは中国には民族の平等が存在していないことを示す。また、中国の新聞が「中国は今極めて安定している」と強調した場合は、実際には安定しておらず、緊張状態にあると判断しなければならない。ちなみに日中友好という言葉も同様の使われ方をする。だからこの解放軍報の社説も軍の中に不穏な動きがあり、共産党の軍に対する権威は揺らいでいると見なければならないのだ。

 そして大紀元の記者(辛菲氏)は、中国にひそかに作られた中華民族解放同盟の執行部で、もと中国の陸軍士官の李契克を取材した。李の語ったことはだいたい以下のようである。
彼は80年代の終わりに、東トルキスタンに駐留していたある部隊に3年間所属したが、そこで新疆の屯田兵ともいうべき新疆生産建設兵団の団員の生活状況を目の当たりにしたという。つまり、彼自身は兵団員だったわけではない。ただ彼らのとくに下部のメンバーの生活は困窮していたが、それに対する救済はなく、共産党は彼らを利用するだけ利用してあとは見捨てるだけだった。李は兵団のこのような状況を見て、彼らの共産党に対する抵抗運動を支援しようと考えたようである。
1950年代から、中国共産党は東トルキスタン内の正規の軍隊以外を新疆生産建設兵団とし、内地の知識青年をそそのかして、兵団に加入させた。現在兵団は14師団、200万人以上を数え、ある一定の軍事的役割も果たしつつ、工業や農業、商業、建設などの活動に従事してきた。

李は中共が欺瞞の中にあり、民衆を扇動して政権や権利を奪取すると、すぐ彼らを残酷にも弾圧し、自ら作り上げた“塔”級社会の底辺へと追いやり、存分にしめつけ、だましてきたと語った。新疆建設兵団は中国共産党の悪と覇権の勢力であり、覇権政治の道具の集団だった。その大部分のメンバーは中国共産党に騙され、重大な被害をこうむり、劣悪な状況のもとで“辺境開墾”などの任務を強いられ、辛い状況のもと屈辱の生活を送っている。

 さらに李は同じ言葉の繰り返しで、兵団の生活の悲惨さを強調しつづける。そして、「このような虐待を受けず、故郷へ帰り、兵団の悲劇を終わらせ、正常な人間らしい生活をとりもどしたい」という真摯な訴えが兵団員からなされたが、中共はこれを拒絶し、おきまりのファシスト的なやりかたで、この要求とそれにともなう行動を鎮圧したとしている。
 李は兵団のメンバーにこれらの弾圧に屈することなく、ともに中国共産党の犯罪的統治を終わらせようと呼びかけている。

さらに李は新疆生産建設兵団の背景と真実について説明している。兵団はもともと王震為司令官の西北野戦軍第一兵団などの部隊だった。東トルキスタンに入った軍隊は軍事任務を果たしたのち、東トルキスタン人の真の自治権を奪還する抵抗運動の鎮圧のため、中国共産党の新疆統治の道具として、東トルキスタンにとどまった。軍は「生産建設兵団」に変わり、中国共産党の搾取をうけつつ、民族自治権との戦いの道具となった。
 とくに悲惨なのは兵団員が抑圧され、支配権と命運を決定され、その権利を剥奪され、辱めを受け、圧迫の対象となっていることである。

 李は兵団は中国共産党が東トルキスタを統治する道具として利用され、搾取されてきたと強調する。彼らは、歳をとっても故郷に帰れるあてはなく、終生東トルキスタンにい続けなければならない。彼らのふるさとを思う心は切実で、原籍地での生活を渇望している。これは基本的人権の範囲内の合理的な要求だが、中国共産党犯罪勢力はけっしてこれには応えない。こうして、兵団員は抗争を開始した。匪賊同然の悪党集団中国共産党はファシスト恐怖政治の高圧的な手段で、これを押さえつけて迫害した。

このあとで、中国共産党は国内の各民族(漢族以外)に真の自治権など与えていないという李の話がつづく。共産党は東トルキスタンの漢族とそのほかの民族の権益、民族自治と共同参画、民主建設の権利などを奪ったとする。民族の地区の自然資源と社会資源を利用することが、漢族の彼らの土地の統治の目的なのだ。

 自治とは名のみに過ぎず、中国共産党当局は民族を押さえ込み、中共直属の役人が中心となり、あとは民族の傀儡的役人をそえて、民族の土地を抑圧してきた。
 新疆ウイグル自治区のウイグルやカザフなどの民族は真の民族自治区と、民主自治権を求めているが、各民族の多数の人民の希望は自らの代表が民族地区の各種、各クラスの政治的権利を行使し、真の民族大衆の利益を背負うことなどを求めているのであり、これは“独立国家”になりたいということではない。李は新疆地区は長期にわたり「新疆独立」の傾向ではなく、真の民族政治を得たいという傾向が続いていると李は語ったのである。

 実はこのあとも記事は長々とつづくが、このあたりでやめておく。
 この李という人物の話を聞いて、日本のみなさまはどうお思いになるだろうか。
 中国共産党という政権にくっついて、私たちの故郷を侵略し、占領したのは中国人、つまり漢族たちである。そこで私たちの一番よい土地を占領し、私たち東トルキスタン人を強制移住させた。私たちも故郷から追われ、終生戻ることはできなくなったのだ。そうして手に入れた土地で、自然環境が悪い、生活が劣悪だなどと文句ばかりいっているのである。そして共産党が自分たちを利用してきたなどとのたまうのである。

 軍が命令に従うのは当然のことではないのか。ただ、もちろん共産党が彼らを搾取しすぎるなら、最低限の権利を訴える権利は彼らにもある。しかしそのために、自分たちは被害者などというのはおかしい。中共の手先となって私たちを殺戮し、財産や資源を奪ってきたのに、被害者だなんてすり替えもいいところである。東トルキスタン国民にとって“被害者であり、かわいそうな敵”という漢族はいないのである。兵団員の年収は東トルキスタンのウイグル、カザフ、キルギスなど国民の年収より少なくとも10倍高いのである。このほか、兵団員は義務労働(強制労働)はしない。
 真の被害者は私たち東トルキスタン人であるということを、みなさまにはゆめゆめ忘れないでいただきたい。

 さらに李は“新疆ウイグル自治区”に自治はないといいつつ、民族が求めているのは自治であり、独立ではないとぬけぬけといってのけた。東トルキスタンに長くいて、私たちの真意をわかっていないはずがない。中国共産党に戦いを挑み、民主を気取ってはいるが、うそつきという点においてはこの共産党侵略者となんら変わりはないのである。
 自らの民主化を進めるために東トルキスタン人を利用しようとして、このようなことを語ったのであろうが、ならば、われわれの真の希望は独立であることを認めるべきである。
 もちろん、私たちも中国の経済発展から取り残され、土地を奪われ、それに抵抗しても弾圧され、搾取されている中国の農村の人に同情する。中国共産党は私たちにしてきたひどいしうちを、同胞にもするような最低の政権だ。民主化運動をするならすればいい。しかし、それは万里の長城の中、自分たちの土地の中だけにしてもらいたい。
 その外の土地は侵略して強奪した土地である。私たちの土地で漢族中心の民主化などやめてもらいたい。私たちが望むのは断固として独立である。東トルキスタンで民主化をするなら、東トルキスタン人がするのが当然である。それは民族自治の拡大ではなく、独立なのである。
 日本のみなさまにはこれを忘れないでいただきたい。確かに中国の民主化を応援することは悪いことではない。しかし、中国が民主化することと、私たちが独立することはまったく別のことだ。日本のみなさまには、このあたりを混同しないでいただきたい。中国が民主化すれば、私たちも独立できるとは考えないでいただきたい。民主中国も、天然資源や水源の豊富な東トルキスタンを、みすみす手放すことはないのである。
1950年代の半ばから東トルキスタンで軍拡を始め、東トルキスタンの最も肥沃な土地、草原、灌漑用水、鉱区などを没収し、占領した同時に、その土地、その資源の持ち主であるウイグル、カザフ、キルギスなど東トルキスタン国民を弾圧してきた侵略軍である“新疆生産建設兵団”やその兵団員は“優しい漢族だ”、“かわいそうだ”、といえないでしょう。東トルキスタンは漢族にとって外国である。漢族全員が万里の長城の中に戻るのは当たり前のことで、もし戻ってくれなければ、東トルキスタン国民が彼らを追い出してやる。

海外の漢族民主組織が共産党中国の民主や人権を強調しているが、東トルキスタン、チベット、南モンゴルへの侵略には知らんふりをして、触れていないのだ。この意味で、共産党政権と民主化を主張している漢族は全く変わらないのである。

私たちの独立を支持し、支援していただきたいと切に希望する。それから中国(万里の長城の中)の民主化を支持、支援して頂ければ、東トルキスタン共和国も中国の民主化を支持する。


ウイグル太郎
東トルキスタン亡命政府
2005年9月17日

ご参考に:
大紀元時報中国語版
http://www.dajiyuan.com/gb/5/8/16/n1019756.htm
英文記事:
http://www.theepochtimes.com/news/5-8-27/31660.html



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