「邪悪なカルト」「非合法事業」をおこなったと告発された

          モンゴル人夫婦と公判中に質問して暴行を受けた傍聴者ら



南モンゴル人権情報センター

            
2006613

            
ニューヨーク

            

2006612日、ナゴーンビリグ、ダゴーラー夫妻は、1年と5日間勾留された後、内モンゴル自治区フフホト市中等人民裁判所で審判を受けた。ナゴーンビリグは内モンゴル安全庁勾留所から、ダゴーラーは内モンゴル第一勾留所から手錠をかけられて連行された。「邪悪なカルトの実践」、「理想主義と迷信の流布」、「非合法事業」、「不法ビラの印刷・配布」などの罪が問われている。


            

ナゴーンビリグは優れた精神科・内科医である。200567日夜、夫の手伝いをしていたダゴーラーとともに、自ら経営する「内モンゴル・アズタイ・モンゴル老人健康センター」で逮捕された。逮捕理由は「モンゴル版法輪功を実践した」ことであるという。ナゴーンビリグの逮捕に伴い、健康センターは強制的に閉鎖された。


            

法廷は約200人のモンゴル人傍聴者で一杯になり、その大半は二人に治療を受けた患者であった。患者のひとりで、モンゴル人政治犯ハダの妻シン(新娜)も、息子のウイルスを伴い傍聴席にいた。裁判は、午前9時半開廷、昼休みをはさんで午後も続いた。法廷は、警官と私服警備員によって厳しく監視され、審理中にメモを取ろうとすると筆記用具を警備員に没収された。被告の二人には15分間の陳述時間が与えられ、検察の主張を強く否定するものであったが、裁判官によって何度も中断された。夫婦の告発には確かな証拠が何もないのである。検察側の出張は、被告を「非合法気功の実践者」である張という人物と結びつけようと2時間以上にも及んだという。伝えられるところでは、この張という人物は何ら違法行為をおこなっていないという。


            

検察官の矛盾した主張により混乱して怒った傍聴者らが説明を求める場面もあった。シンの隣に座っていた老人は明らかに混乱しているらしく、ナゴーンビリグが「張」という漢姓をもっているのかどうかシンに尋ねたりした。裁判が傍聴者に理解されるよう、シンが立ち上がり「この裁判は、夫婦を裁いているのか、それとも気功家の張を裁いているのか」と裁判官に問いただした。シンが夫婦に対する検察の主張にはまったく意味がないということを表明するため退廷しようとすると、警備員が彼女に突進して暴行を加えた。息子のウイルスは、警備員に抵抗したが制止され、二人とも逮捕されてしまった。午後5時半、傍聴者らは退廷したが、夫婦の裁判は休廷せざるを得なくなった。シンとウイルスは、「裁判を混乱させた」と法廷裏の土床の小部屋に午後5時半から8時半まで拘束され、水が飲みたいという二人の要求も無視されたという。午後7時頃、ウイルスは別室で20分以上警官にひどい暴行を受けたという。午後8時半になって、シンは釈放されたが、ウイルスは13日間勾留されることになり、フフホト市治安局勾留所に身柄を移された(敬称略)。

 

                       


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